カードキャプターさくら(1998)

 全70話、映画2本。

 原作はCLAMPの同名漫画。監督は浅香守生、制作はマッドハウス

 見所はずばり、カップリングの豊富さ。百合、BL、近親愛、生徒×教師、果ては人外と、ありとあらゆるCP属性の見本市となっている。まあ結局はヘテロエンドなのだが。

 全体の中で百合の占める割合は決して大きくない。その数少ない百合要員である大道寺知世は、一貫してさくらの恋を応援し見守り続ける。さくらの幸せが自分にとって一番の幸せという、涙ぐましい程の一途さ。第50話で「知世ちゃんに好きになってもらえた人は、きっと幸せだね」とさくらに言われた時の、心の底から嬉しそうな笑顔。と書くと、ただ叶わぬ恋に酔って悲劇のヒロインぶっているだけなのではないかと思われるかもしれない。けれども彼女は、さくらに自作のコスチュームを着せて撮影したいという己の欲望もちゃっかり満たしているのだ。一方的に気持ちを押し付けることも無理やり抑え込むこともしない、バランスの取れた理想的な片想い。知世のように生きてゆけたら、人生は楽しく美しいものとなるに違いない。

 物語は殆どカード集めに終始し、些かワンパターンなきらいもある。だが、変身・戦闘シーンの映像的快楽、魅力的なキャラクターの織り成す人間ドラマがテンポ良く繰り広げられ、観ていて飽きることがない。ギャグとシリアスの配分も絶妙。文句なしの名作である。

[百合の分類]1-6.片想い