灰羽連盟(2002)

 全13話。

 原作は安倍吉俊の同人誌『オールドホームの灰羽達』。監督はところともかず、制作はRADIX

 静謐な雰囲気、幻想的な世界観、淡々と進む展開、落ち着いた演出と、どれを取っても美しく癒される。贖罪と救済という宗教的な題材を扱ってはいるが、絶対他者などではなく罪と向き合う主体としての自己の在り様に焦点を当てており、これもまた実存不安を問題化した作品であると言える。

 ラッカがレキを救うには「罪を知る者に罪は無い」という罪の輪から抜け出さねばならないというのが物語の骨子。レキは良い灰羽になろうと他人に親切に振る舞うが、それは救済を目的とする自己本位な行動だと自分を責めるという悪循環に苦しんでいた。そのような救済を拒否する自罰意識を告白・克服し、拒絶を恐れずに自らラッカに助けを求めることが必要であり、ラッカもまたレキの絶望や嫉妬を理解し受け止めた上で助けようとしなければならない。救う者と救われる者との間に横たわる断絶を綺麗事抜きで丹念に描き出し、両者の魂の救済へと昇華させた最終話は圧巻であった。百合的にも有数の神回だろう。

 基本的に寓話であり、灰羽やグリの街が何を表しているかは特に重要ではない。雰囲気と百合を穏やかに楽しむことに特化しており、派手な興奮こそないものの深い感動を得られる。ただ、一言文句を言わせてもらうと、他人の部屋で喫煙するという描写に若干腹が立った。煙草の臭いが服やベッドに移ることに頓着しない作り手の無神経さが透けて見えたからだ。その辺の気配りが足りていれば胸を張って名作と紹介できたのになぁと惜しいところである。

[百合の分類]4-S