秋山はる『オクターヴ』(2008)

全6巻。初出は講談社『アフタヌーン』。 社会人女性同士のカップルを写実的に描いた力作。恋愛を一切理想化せず、嫉妬、依存、承認欲求、自己嫌悪、未熟さゆえの諍いや擦れ違い、そして同性愛ならではの周囲の無理解など、とことん生々しく痛々しい展開が続…

ガールズ&パンツァー(2012)

全12話、OVA1本、映画1本。 オリジナルアニメ。監督は水島努、制作はアクタス。 徹頭徹尾、迫力ある戦車戦を楽しむための作品である。散りばめられた美少女キャラクターはオタクを釣り上げるための入口、実力者に率いられた弱小校が強豪校を打ち破るという王…

袴田めら『新装版 最後の制服』(2011)

全2巻。初出は芳文社『まんがタイムきららキャロット』『まんがタイムきららMAX』及び描き下ろし。2005~06年に刊行された全3巻をまとめ直し、つぼみシリーズにて改めて発行された。 萌え系の可愛らしい絵柄に騙されてはいけない。女子高の学園寮で群像劇と…

咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A(2012)

全16話。2009年放送のアニメ『咲-Saki-』の第2期。 原作は小林立『咲-Saki-』の外伝である、五十嵐あぐり作画の同名漫画。監督は小野学、制作はStudio五組。 原作『咲-Saki-』は単なる萌え漫画ではない。チームが一丸となって麻雀という名の異能バトルを戦い…

井村瑛『最低女神』(2012)

短編7本。初出は一迅社『コミック百合姫』、他に未発表作や描き下ろし等。 柔らかな描線でふんわりとした可愛らしい女の子と、暗い感情が渦巻き翳のある人間模様の取り合わせが味わい深い。重めの設定が多く胸を締め付けられながらも、極端に殺伐とすること…

カードキャプターさくら(1998)

全70話、映画2本。 原作はCLAMPの同名漫画。監督は浅香守生、制作はマッドハウス。 見所はずばり、カップリングの豊富さ。百合、BL、近親愛、生徒×教師、果ては人外と、ありとあらゆるCP属性の見本市となっている。まあ結局はヘテロエンドなのだが。 全体の…

コダマナオコ『コキュートス』(2014)

中編2本。初出は一迅社『コミック百合姫』及び描き下ろし。 登場人物の心の声を丁寧に拾ってゆき、気持ちや関係性がじわじわと変化してゆく様を鋭くシリアスに描いている。特に、冷たい表情や目線の描画に凄味があって、思わずぞくりとさせられる。 表題作は…

魔法少女まどか☆マギカ(2011)

全12話、総集編映画2本、続編映画1本。 原作なしのオリジナルアニメ。監督は新房昭之、制作はシャフト。 蒼樹うめの可愛らしいキャラクター原案と虚淵玄のシリアスかつハードな脚本とのギャップで話題を集めた。「魔法少女もの」のお約束を打ち破り、既成概…

百乃モト『宝石のようなもの』(2016)

短編11本。商業・同人から再録した同人誌。 少女漫画的な繊細なタッチの絵柄で、揺れ動く感情を丁寧に描き出している。切ない片想いが多く、両想いでも両者の擦れ違いやぶつかり合いをしっかり見せてくれる。学生百合だけでなく作者の得意とする社会人百合も…

百合の定義

百合好きと自称して記事を書くからには、まず百合とは何たるかの定義をしておこうと思う。もちろん人それぞれの定義が存在し、論争が絶えないことは承知しているが、ここではあくまでも個人的な考えを書くことにする。 「百合」とは、女性同士の何らかの関係…